2017年1月15日日曜日

Googleに入社した野村達雄氏がNianticに移籍して、ポケモンGOを開発してきた経緯

ポケモンGOは、2016年7月のリリース以降、8週間で、世界累計5億ダウンロードを突破するなど、数々のギネス記録を打ち立ててきた。

 『Pokémon GO』は位置情報を活用して、現実世界そのものを舞台として、ポケモンの収集、育成、バトルを楽しむリアルワールドゲームで、2016年7月6日(水)オーストラリア・ニュージーランドで初めて配信されたのを皮切りに、日本では、2016年7月22日(金)に配信開始となり、2016年9月8日には、100以上の国や地域でプレイされている。
ポケモン・プレスリリース

これは、元々はGoogleのエイプリルフール企画から始まっているもの。

この”エイプリルフール企画”とは、Googleが、毎年、4月1日に、驚きの「エイプリルフール」情報を提供するというもので、ポケモンGOにつながる、エイプリルフール企画を実行してきたのは、2011年にGoogleへ入社して、Android版「Google Map」の開発に従事していた野村達雄氏。

参考記事

2012年のエイプリルフール企画「Google Map Famicon対応」

Googleに入社して1年目の野村達雄氏は「レトロなゲームが好きなこともあって、Google Mapをファミコン版のドラクエ風にしたら面白いのではないか」と思い、すぐさまプロトタイプの作成に着手。
Google Mapの画像を見て、青い部分には水の画像、緑の部分には木の画像を当てはめたプログラムを書き、わずか2時間ほどでプロトタイプを完成させた。
実際にデモをチームメンバーに見せたところ、反応は上々。エイプリールフールに間に合わせるべく、急ピッチで開発を進めていった。人気のキャラクターをたくさん置くなどディテールにこだわったことに加え、「Google Mapがファミコンに対応する」というエイプリールフールらしいジョークも組み合わせることで、ユーザーからは大好評。企画は大成功を収めた。


2013年のエイプリルフール企画「Google Mapで宝を探す」

ドラクエ風のGoogle Mapがあまりに評判で、周りから『次の年は何やるの?』とたくさん聞かれて、少しアイデアに困ったが、色々考えて、2013年のエイプリールフールはGoogle Mapを宝の地図に見立てて、宝を探すという企画をやりました。



2014のエイプリルフール企画「ポケモンチャレンジ」

野村氏は「次の年はもうやらないぞ、と思っていたのですが、ポケモンがGoogle Mapにいたら面白いと思いついてしまって。『これは面白いことができそうだ』と思ったので、また2時間くらいでデモを作ってみました」とのことで、作ったデモは、Google Map上にピカチュウを登場させ、モンスターボールでゲットできるというもの。ドラゴンクエストの時と同じようにチームメンバーに見せたところ、Google Mapに実装し、「ポケモンチャレンジ」の名称でエイプリールフールに公開することになった。さらに150匹のポケモンを捕まえた人にはポケモンマスターの名刺を送るというジョークを交えたエイプリールフールの企画は、またしても大きな反響を呼んだ。


野村氏がGoogleからNianticへ

このポケモンチャレンジに魅せられ、誰よりも可能性を感じたのが、NianticのCEO John Hanke(ジョン・ハンケ)氏だった。ハンケ氏はGoogle Earthの前身サービスである、3Dデジタルマップ作成サービス「Keyhole(キーホール)」をGoogleへ売却し、Googleの社内スタートアップとしてNiantic(当時はNiantic Labs)を立ち上げた。ミッションは「adventures on foot with others」。人々を外に連れ出し、何か新しい発見をさせたり、友人・知人とコミュニケーションさせたりすることを目的とした。
そこで、「Ingress」というアプリケーションを開発。

https://www.ingress.com

現実世界と連動し、世界各地に存在する「ポータル」を取り合っていくというシンプルな仕組みがユーザーにヒット。全世界200カ国以上でローンチされ、1500万ダウンロードを突破した。

そのIngressとポケモンチャレンジがコラボしたら、もっと面白いことができるんじゃないかとハンケ氏は考え、1人目の日本人社員としてNianticにジョインしていた川島優志氏を経由して、野村氏に連絡した。野村氏はその話を聞いて 「自分は物心ついたときからポケモンがそばにあった“ポケモン世代”なのですが、誰もが一度は、『サトシになって、カスミと一緒に冒険できたら……(サトシ、カスミはアニメ版ポケモンの登場人物)』と妄想したことがあると思うんです。だから、ハンケの話を聞いた瞬間、『これは自分が子供の頃に欲しかったものだ」と思い、面白いことができる」と思ったとのこと。

すぐさま、野村氏はポケモンのIP(知的財産権)を所有する「株式会社ポケモン(The Pokémon Company)」に足を運び、CEOの石原恒和氏もIngressに大ハマりしたとのこと。

http://www.pokemon.co.jp/corporate/

これをきっかけに、Niantic、ポケモンの双方がIngressとポケモンチャレンジの融合に大きな可能性を感じたこともあって、ポケモンGOのプロジェクトがスタート。そのタイミングで、野村氏はGoogleからNianticへと転職した。

こんな歴史があるのですね。



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